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2010-01-15

物語「シフト」(3) ― 会話と癒し

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メールマガジン【しごとのみらい】 ~わたしの未来は、わたしが決める~
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┏ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓

【ごあいさつ】 お待たせしました!
【コンテンツ】 第504号 物語「シフト」(3) ― 会話と癒し
【 あとがき 】 

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【ごあいさつ】 お待たせしました!
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去年の1月に「よし、本を出版しよう!」と決めて、ちょうど1年。

お待たせしました!

処女本が3月の新刊として出版することが決まりました。
編集者さんからのメールに、言葉にならないうれしさがこみ上げてきました。

内容的には、職場環境を良くするためのチームビルディング的な本ですが、

「チームがまとまらないなあ」
「どうしたらチームをまとめることができるのだろう?」

とお困りの方(リーダー層?)に加えて、

「この職場、嫌だな~」
「本当はリーダーが変えてくれたらいいけど、変えてくれないんだよな~」
「会社辞めるほどではないけど、どうせだったら楽しい職場で働きたいな~」
「自分にもできる、ちょっとした工夫はないかな~」

というあなたに手にしていただきたい……と思って書きました。

今後、機会を見ながら、この本を書くことになった経緯や、書き始める前や、
書いている途中における著者としての苦悩、さらには、担当編集者との壮絶な
戦い(笑)などをご紹介していければと思っています。



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【コンテンツ】 第504号 物語「シフト」(3) ― 会話と癒し
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┏ 今月の物語「シフト」のあらすじ ━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 
 「経済」に振り回され、疲弊している国、日本。その中で「社会」に振り回
 され、疲弊している元外資系企業のサラリーマン、トオル。「社会」という
 幻想から逃れ、見失いかけていた「自分」を見つけるストーリー。
 
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これまでのお話
「シフト」(1) ― ひとり

blog.takewave.com/column/20100107/355/

「シフト」(2) ― がんばるとは

blog.takewave.com/column/20100113/421/

 目を覚ますと少し頭痛がした。昨日は少し飲みすぎたようだ。痛む後頭部を
右手でさすりながらうつむいていると、昨日の夜にトモミと話していたことが
ふと頭に浮かんできた。

 ボクたちはそんなに「がんばらなくてはならない」のだろうか?
 どこまでがんばればいいのだろうか?
 そもそも、何のためにがんばっているのだろうか?
 
 昨夜はトモミといろいろと話したけれど、その答えは未だ見つからない。

(それにしても、昨日は久しぶりに楽しかったな。)

 仕事で辛かったときから今まで、ずっとひとりで悩んでいた。他の人に話を
聞いてもらうことがこんなに気分をすっきりさせるとは思ってもみなかった。
なぜ、トモミと話していたときはあんなに気分よく話せたのだろう?

「トオル、ごはんだよ~」

 1階から母親の大きな声が聞こえてきた。少し頭に響いた。

◇

 食事をしていると、母親が尋ねてきた。

「昨日の同窓会はどうだった?」

「別に」

「別にってことはないじゃないか。何人ぐらい集まったの?」

「う~ん、8人ぐらいだったかな?」

「楽しかった?」

「そうだね」

 母親には、あまり深い話をしたことがない。話をしたくないわけじゃない。
本当は、近況を話さなきゃいけないとは思っている。でも、母親に話すと、ま
だ全ての話が終わっていないのにあのセリフを口にする。

「お前、仕事は大丈夫なのかい?お母さんは本当に心配だよ。」

 この一言を聞くと、そのぐらい分かっているよ……という気分になって、そ
の先のことを話したくなくなるんだ。昨晩、トモミと話しているときはあんな
に気分よく話せたのに、母親には話せないなんて不思議だなあと思う。

 そういえば、トモミに話を聞いてもらってるときは、とても心地よかった。
なぜだろう?母親の場合は、ボクが話していると

 「なんでそんな風にするの?○○にしたほうがもっといいよ。」
 「うまく行くようにもう少しがんばりなさいよ。」

などと自分の意見を押し付けてくる。いや、母親だけじゃない。今までを振り
返ってみると、学校の先生も、上司も、同僚も、みんなそうだった。

トモミの場合は、自分の意見を押し付けてはこない。

「なるほど、トオルくんは○○だと思っているんだね。」

って、ずっとボクの話を聞いてくれていたような気がする。たぶん、この差だ。
トモミは、「もっとがんばれ」と子供に接し、「もっと褒めて欲しい」と言わ
れて子育てに悩んだとき、コミュニケーションの方法を勉強したのだそうだ。

 悩んでいるときに、周りに話を聞いてくれる人がいたとしたら、どんなに気
が休まるだろう。

 本当は、悩んでいるのに・・・
 本当は、もっと話を聞いて欲しいのに・・・
 本当は、・・・
 本当は、・・・

何も言わずに、ただ話を聞いてもらえたら、どんなに気分が晴れ、癒されるこ
とだろう。

 沈黙の中でゆっくりと箸を動かしながら、ぼんやりと考えていた。

「今日、神棚の掃除お願いね。」

「え?うっ、うん」

 そうだ、今日は大晦日だ。神棚の大掃除は、子供のころからいつもボクの仕
事だった。

◇

 「トオル、もうおまいりは終わったの?」

 大晦日は、夕食の前に仏壇と神棚に一年の感謝の意味でおまいりをするのが
我が家の恒例だ。頭を2回下げ、パンパンと2回手を打った後に、昼間磨いた
神棚に手を合わせる。

 2人きりの食卓は大晦日といえ普段とさほど変わった感じはしない。それで
も、豪勢ではないが、帰省したときに振舞われるいつもの手料理に加え、刺身
が一品多く添えられていた。

「今年も一年終わりだね。乾杯。」

 テレビでは、全国の大晦日を知らせるニュースが流れている。公設派遣村で
は数百人に宿泊施設が提供されたらしい。豪勢ではないとはいえ、こうして暖
かい部屋で酒を飲めるだけでも、単純にありがたいと思えた。もし、ボクが帰
ってこなかったら、母親はこの年末年始を一人で過ごしたのだろうか?

 ニュースは年末を迎える各地の風景に変わる。レポーターは豪華絢爛な料理
の前で今年の終わりを伝えている。
 住む場所や食べることにも困っている人たちがいる一方で、食べきれないほ
どの料理を前に、笑顔をふりまく人もいる。この差は、一体何なのだろうか?

「どちらか一方ががんばり、どちから一方ががんばらなかったからこの差が生
 まれたのだろうか?」
「もし、そうだとしたら、ボクはどっちなのだろうか?」
「何が正しくて、何が正しくないのだろうか?」

 ニュースが終わると、衣装を着た歌手たちがステージの上に集まっていた。

◇

 1月1日。
 
 新年を笑いで祝うかのように、お笑い番組が流れている。司会を務めている
ベテランのお笑い芸能人が、若手にこう聞いている。

「今年の抱負や目標があったら教えてください。」

 その言葉に、お笑い芸人が生き生きとした口調で答えている。毎年繰り返さ
れるされる風景だ。

 新しい年が始まったからといって、ボクは今まで、特に抱負や目標を持った
ことがない。いや、正確に言えば「今年は何か新しいことを始めたいな」とぼ
んやりと思う。けれど、それから先に進んだことはない。もっとも、今までは
とても忙しかったということもあるけれど…。

 ボク以外の他の人は、抱負や目標を持つものなのだろうか?
 そして、それに向かってがんばるのだろうか?

 おとといの同窓会で、ボクの悩みを聞いたトモミは、最近参考なりそうなホ
ームページを教えてくれた。なにやら「仕事」「目標」「がんばること」など
について勉強になるらしい。アパートに戻ったら早速見てみようと思っている。

(つづく・・・)



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